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日本、機密情報共有の枠組み「シックスアイズ」を視野に

25 8 2020

日本、機密情報共有の枠組み「シックスアイズ」を視野に

日本、機密情報共有の枠組み「シックスアイズ」を視野に
Taro Kono, Japan’s defence minister: “Many countries believe that China is trying to change the status quo unilaterally with the threat of force in the background” © Rie Ishii

日本は米国や英国を含む情報共有の枠組み「ファイブアイズ」に協力する意向がある、との旨を河野太郎防衛相が日経に述べ、日本が早期段階で機密情報を得られるようにする枠組みへの可能性について言及しました。

「これらの国々は同じ価値観を共有している。」と、河野防衛相はインタビューで発言しました。「日本は『シックスアイズ』と言える程度まで(同盟体制に)近づけるかもしれない。」とのこと。ファイブアイズは、そのグループを構成するイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5ヵ国の数から由来してその名称で呼ばれています。加盟国の間には、アングロサクソン系の遺産と英語を使用するという点で深い歴史的・文化的な繋がりがあります。加盟国間のUKUSA協定には、シギントおよび安全保障目的での電信傍受を通じた情報共有の協力が盛り込まれています。正式な加盟国ではありませんが、日本はこれまでファイブアイズとの情報共有を行ってきました。河野氏は、日本がファイブアイズとの繋がりをより深めることで初期段階での情報共有が可能になるとともに高度な機密情報を得ることができる、と強調しました。また、ファイブアイズは情報共有に加えて強固な外交的な結びつきがあるのが特徴で、加盟国が共有する懸念事項について共同声明を報じています。「(加盟国が)外交と同様に経済にも介入することが非常に重要である。」と河野氏は述べ、情報共有の枠組みが気候変動やスペースデブリと言った問題にも対処するものであると付け加えました。

ファイブアイズの加盟国のうち数国は、中国の軍事拡張が進む状況に対し、機密情報の共有のため日本とのより緊密な協力体制を求めています。イギリスを例に挙げると、香港に対する外交的な緊張体制が高まっている中国やコロナウイルスの全世界的な流行を警戒し、日本が持っている情報の活用を期待しています。東シナ海および南シナ海での中国の活動について、「防衛大臣かつ日本の防衛責任者として、非常に甚大な懸念を感じていると言わざるを得ない。」と河野氏は述べました。

「東・南シナ海や中国・インド間国境帯、および香港において、中国が軍事力を背景に一方的に現行体制を変えようとしている、と多くの国が考えている。」と河野氏は述べ、そのような行いに対しては「大きな代償を支払わせるべきだ、というのが国際コミュニティにおける多数派の考え方である」と加えて述べました。

日本は情報共有を「様々な目的において行う」と持ちかけられている、と河野氏は話しました。「このアプローチが絶えず続くようであれば、「シックスアイズ」と呼ばれる状態になりうる」と発言しました。

しかし、ファイブアイズは国際組織ではないため、公式加盟国となるために日本が特定の手順に則る必要はない、との考えを河野氏は話しました。「ただ話し合いの場に参加し、日本も考慮に入れてもらうように伝えるだけである。」とのこと。

また専門家の中には、日本は情報保護の仕方を改善する必要がある、と指摘する人々もいます。日本では、市民を含め情報を漏洩しないと信頼できる人物のみが高度な機密情報にアクセスできるようにするセキュリティ・クリアランスの仕組みが整っていません。本記事の初版は、2020年8月14日にNikkei Asian Reviewにより発行されています。 @2020 Nikkei Inc. All rights reserved

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